自覚症状の少ない「歯ぎしり」とは
歯ぎしりは睡眠中に自分では自覚のないままに下顎を動かしてしまうため、上下の歯がこすれ合って異音を出す症状です。正常な人でも睡眠中に多少の歯ぎしりをするため、病気がどうかを一律に判断することは難しいです。
ただし歯ぎしりによって歯を強く噛みしめることで、健康な歯や顎に無理な力が加わり、関節症や歯周病の原因になる場合があります。ご家族などから歯ぎしりのことで指摘を受けたことがある方は、彦根市にあるイシカワ歯科・矯正歯科 南彦根駅前へ一度ご相談ください。
歯ぎしりでこのような症状はありませんか?
噛むと痛い
歯ぎしりが続くことによって、歯や歯の周辺の組織に影響を与えてしまい、歯を嚙みしめると痛みを感じる場合があります。これは歯の周囲にある「歯根膜」という組織が炎症を起こすのが原因です。
歯ぎしりをしていることが認められて、かつ歯の上下左右にかかわらず痛みを感じる場合は、この炎症の可能性が高いので医師の診断を受けましょう。
歯がしみる
歯ぎしりが続くことによって上下の歯がすり減ってきます。歯や歯茎に大きな力が加わることによって、歯に亀裂が入って知覚過敏が起こることがあります。
歯が割れた・削れた・欠けた
歯ぎしりによって歯の根元や表面が削れたり、歯が割れたりすることがあります。特に歯の神経が通っている部分が割れると、激痛を感じます。
割れ方によっては抜歯が必要になる場合があります。また前歯が欠けて歯のギザギザする部分が増えることもあります。
歯が短くなった
歯ぎしりによって歯の噛む面が削れるほか、特に先端が削れて短くなってしまうことがあります。
見た目も悪く、歯がしみることもあります。
顎が痛い
歯ぎしりによって顎の関節が強い圧迫を受け、強い痛みを感じるようになります。
顎の関節は顎と頭を繋げている関節で、この関節に「関節円盤」という顎をスムーズに動かす軟骨があります。
歯ぎしりによってこの部分が圧迫を受けると、関節のずれや穴が開くといった症状が起きて、顎の動きがスムーズに行えなくなるほか、痛みを感じるようになります。この症状を顎関節症と言います。
詰め物・被せ物が取れた・割れた
歯ぎしりによって歯に強い力が加わり、歯に被せた物や詰め物が損傷することがあります。特に固いセラミックを使用した被せ物をしていると、その歯と嚙み合わせられた歯のほうが欠けてしまう場合があります。
歯茎が痩せてきた
歯ぎしりによって一部の歯に強い力が加わり、その歯の歯茎が痩せる(歯の根が見えたり、歯が長くなったように見える)ことがあります。また歯周病や歯茎の腫れがある場合には、歯ぎしりによって歯を支える骨が溶ける症状が進むことで、歯茎が痩せやすくなります。
肩こりが激しい
歯ぎしりが原因となって、肩や首のこりを感じることがあります。
歯ぎしりの際には「咬筋」という下顎と上顎を結ぶ筋肉が使われるのですが、歯ぎしりを頻繁に行うとこの筋肉が肥大化します。またこの筋肉は顎から首や肩にかけて他の筋肉と繋がっていますので、歯ぎしりによってこれらの筋肉も緊張します。そのため筋肉に疲労が蓄積し、こりとして症状が現れます。
偏頭痛が起こる
歯ぎしりには顎から頭の横にある側頭筋も関係します。歯ぎしりによって側頭筋も緊張し、これによって頭が締め付けられるような偏頭痛が起こることがあります。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりがどのようなメカニズムで発生するかということについては、現在正確には解明されていません。ただし、一般的には主に以下の要因が関係しているとされています。
習慣
飲酒や喫煙などの生活習慣が原因となって歯ぎしりが起こるとされています。また、アルコールやニコチンの摂取によって歯ぎしりの症状を悪化させるリスクが高まることがあります。
さらにスポーツをする方が力を入れる時に歯を食いしばったりしますが、そのようなことが習慣化して、睡眠中に歯ぎしりとなって現れることもあるとも言われています。
ストレス
ストレスは歯ぎしりの有力な原因の1つとされています。睡眠中に何か不安なことや憂鬱な気持ちを感じた時に、無意識に歯を食いしばることによって、それを解消しているためとされています。歯ぎしりがストレス解消の手段になっているという考え方です。
噛み合わせ
噛み合わせが悪いと、歯ぎしりが起こりやすくなるとされています。嚙み合わせが悪く、嚙み合わせの時に特定の歯にだけが強く接触したり、歯の被せ物や詰め物のために噛み合わせが合わなかったりする状態が続くと、無意識に歯ぎしりをするようになるようです。
子供の成長過程
子供の歯ぎしりは、乳歯が永久歯に生え変わる時期に起こりやすいとされています。歯が成長している時期ですから、ムズムズして無意識に歯ぎしりをしてしまうのかもしれません。永久歯に生え変わった
後に歯ぎしりをしなくなれば特に問題はありません。
歯ぎしりの対策・治療方法
歯ぎしりの原因は正確にはわかっていませんので、完全に治療を行うことは難しいです。しかし、症状の軽減をはかったり、歯や顎を守る観点からの治療を行ったりすることは可能です。
自分で行える対策
禁煙・減煙する
タバコに含まれるニコチンには神経を興奮させたり、脳を覚醒させたりする作用がありますので、質の良い十分な睡眠をとるためには避けるべきです。
歯ぎしりは眠りが浅い時間帯に起こりやすいので、その点からも禁煙や減煙によって質の良い睡眠をとるように心がけましょう。
入眠前のアルコールを避ける
飲酒によるアルコールの摂取も交感神経を刺激するため、質の良い睡眠をとるには大敵となります。特に就寝前の飲酒は避けましょう。
筋肉をマッサージする
顔の周辺の筋肉をマッサージすることで筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせることで、歯ぎしりの影響を軽減させる効果が期待できるようになります。
歯科医院で行う治療
歯ぎしり用マウスピース
睡眠中は無意識に歯ぎしりを行ってしまうため、噛む力のコントロールはできません。ただし、歯ぎしり用のマウスピースを装着することで、歯や顎にかかる力の影響を軽減することは可能です。
歯ぎしり用マウスピースは基本的に睡眠中に装着します。日中に歯をくいしばる機会が多い方(スポーツ選手など)の場合は日中も装着可能ですが、それ以外の方は、日中はできるだけ意識して食いしばりをしないように心がけた方が良いでしょう。
ボトックス注射
ボツリヌストキシンという菌の毒素を医療用に製品化したものを「ボトックス」と言い、これを緊張した筋肉に注射することで筋肉の動きを抑制します。顎の咬筋の緊張が緩和され、歯ぎしりの症状を軽減させることができます。
噛み合わせ治療
歯の噛み合わせを良くすることにより、歯に関する違和感が軽減され、ストレスが解消し、歯ぎしりが減少するという効果が期待できます。
虫歯や歯周病などの歯の治療を適切に行い、必要な場合は矯正治療を行って、嚙み合わせを改善することで歯ぎしりへの影響をできる限り少なくします。