インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎は、インプラント周辺の組織が歯周病に感染する状態を指します。インプラントにも歯周病が起こり得ます。
しかし、天然の歯と比べてインプラントは炎症に対する抵抗力が低いため、一度細菌感染が起こると骨の吸収が急速に進行します。自覚症状がなかなか現れないため、気づいた時には症状が重篤化している場合も多いです。そのため、日常的なメンテナンスによる感染予防が大切です。
インプラント周囲炎が起こる確率
・インプラント周囲炎の発生率は9.7%
・炎症を含めた前段階の割合は43%
インプラント周囲炎の症状
軽度
歯周ポケットに歯垢(プラーク)が溜まり、炎症が起こっていますが、骨の破壊はまだ起こっていません。
中等度
歯槽骨に炎症が広がり、膿が排出されることがあります。
重度
インプラント周囲の炎症が歯槽骨の吸収によって引き起こされるため、痛みを感じることがあります。歯茎が痩せてインプラントが露出することもあり、最終的には不安定になって抜け落ちることがあります。重度のインプラント周囲炎になると、インプラントを取り除く必要があります。
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎の主な原因は、歯垢(プラーク)です。プラークコントロールが適切に行われないと、口内の細菌が増え、インプラントに感染する可能性が高まります。
さらに、喫煙やストレスなどの生活習慣、口呼吸や歯ぎしりなどの口内環境も感染リスクを高めます。
インプラント歯周炎を効果的に予防するためには、口内の細菌を減らすだけでなく、感染リスクを高める要因を排除することが重要です。
喫煙
たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用がありますので、血流が悪くなることがあります。そのため、栄養が十分に供給されず、免疫力が低下してしまいます。
また、インプラントは天然の歯と比べて歯周病菌に対する抵抗力が弱くなります。したがって、インプラント治療を希望する際に喫煙をしている場合、治療が行えないこともあります。
糖尿病
糖尿病の影響で、細菌に対する抵抗力が低下することがあり、歯周病菌にも影響があります。
糖尿病の場合、インプラント治療が制約されることがありますが、血糖値を適切に管理できれば、インプラント治療が可能な場合もあります。インプラント治療が行われる場合、糖尿病の管理にも引き続き注意が必要です。
貧血
血液には、免疫力を高める白血球や栄養を運ぶ役割があります。貧血の場合、免疫力が低下し、歯周病菌に感染しやすくなるため注意が必要です。
貧血の検査を受け、必要に応じて処方されたお薬をきちんと服用するようにしましょう。
歯ぎしり・食いしばり
もし歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合、歯には余分な負担がかかっている可能性があります。
インプラントに過度な力がかかると、インプラント周囲炎の進行を招く可能性があります。
歯周病
インプラント治療を受ける際には、通常、他の歯の歯周病が完治している必要があります。他の歯に歯周病があると、口内は歯周病菌が増殖している状態となり、インプラントが感染しやすくなります。
もしも他の歯に歯周病がある状態でインプラント治療を受けてしまうと、その後のインプラントのケアが困難になる可能性があるため、歯科医師と相談してください。
インプラント周囲炎になったら…治る?治療法は?
インプラント周囲炎の治療は、進行度に応じて治療方法が異なりますが、進行するほど体への負担が増える治療が必要になります。
非外科的治療
軽度の周囲炎の場合は、非外科的な処置(例:PMTCなど)を行うことで改善が期待できます。
外科的治療
症状が進行すると、「歯肉を切開して汚れを取り除く」という外科的な処置が必要になります。
インプラント周囲炎を予防するには?
インプラント治療後、インプラント周囲炎を予防するためには、以下のことを実践することが大事です。
徹底したセルフケア
インプラント周囲炎の主な原因は、歯周病菌です。
歯周病を予防するためには、毎日丁寧に歯を磨くことが非常に重要です。歯の表面だけでなく、歯と歯茎の間も注意深く磨きましょう。特にインプラントの場合は、人工歯の根元部分がくびれているため、注意が必要です。
誤った方法で磨いていると、効果的に汚れを落とすのが難しいことがありますので、歯科医院でのブラッシング指導を受けましょう。
定期的なメンテナンス
インプラント治療を受けた後は、定期的なメンテナンスを受けましょう。
定期的なメンテナンスではインプラント周囲炎の有無をチェックしてもらい、自分では取り除けない汚れを歯科医院に取り除いてもらいます。
生活習慣の改善
インプラント周囲炎の進行を防ぐためには、いくつかの生活習慣の見直しが必要です。特に喫煙は、インプラントに大きなリスクをもたらします。喫煙は体全体の健康に害をもたらすので、禁煙を検討することをおすすめします。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、起床時には顎を意識的に緩め、就寝中のマウスピースを使用を検討しましょう。さらに糖尿病や貧血といった持病を抱えている方は、内科への定期的な受診と病状の適切な管理が大切です。
インプラント周囲炎の治療費用
インプラント周囲炎が発生した場合の治療費は、病気の進行具合によって異なります。
もし歯肉炎が軽度~中度であれば、治療費は数千~数万円で済むことがあります。
しかし、周囲炎が重度に進行してしまった場合は、数十万円以上の治療費がかかることもあります。
具体的な費用は、患者様の状態によって異なるため、診察を受けて判断する必要があります。
気になる症状や違和感がある際は、できるだけ早く彦根市にあるイシカワ歯科・矯正歯科 南彦根駅前へご連絡ください。